富士山のように3776(みななろ)、3776です。
3776は富士山ご当地アイドルとして活動しています。
3776は数字で「3」「7」「7」「6」と書いて「みななろ」と読みます。
この数字はみんな大好き富士山の標高からきています。
みなさん、ぜひ覚えてください。そして応援よろしくお願いします!
そんなあいさつから始まるライブを、富士宮にある「沼久保地区水辺の楽校」で行なっているアイドルがいます。それが富士山ご当地アイドルの3776。
1.富士山ご当地アイドル 3776とは?
3776は井出ちよのさんによるソロユニット。2012年に行われた富士宮市市制70周年事業のひとつ、「わが街のAKB」として結成されたアイドル「TEAM MII」が前身グループです。現在は3776として富士、富士宮を中心に全国で活動しています。
富士山ご当地アイドルという肩書きの通り、富士山にちなんだ曲を数多くリリースしていて、中でも2015年に発売されたアルバム『3776を聴かない理由があるとすれば』は、収録時間が富士山の標高と同じ3776秒、つまり曲を聴いていくにつれ標高が上がっていき、最後まで聴くと富士山に登頂できる、という驚きのしくみになっています。

2.いざ、3776定期ライブ@沼久保地区水辺の楽校へ!
3776定期ライブ@沼久保地区水辺の楽校(以下、沼久保ライブ)は、毎月第2日曜日に沼久保地区水辺の楽校で行われています。
ライブステージとなるのは多目的広場の階段。観客は原っぱまで下りて、見上げる形でステージパフォーマンスを観ます。
開始30分前の10時ごろには、たくさんのハイカーが集まり、ライブが始まるのを待っていました。「ハイカー」というのは3776ファンの総称です。
みなさん、どこから来ているのでしょう?聞いてみると、近くは富士市、富士宮市といった地元から、静岡市、藤枝市、菊川市、遠くは東京、神奈川、千葉、岐阜などから来ている方もいました。
遠方から来るハイカーには、鉄道を利用して来る方たちもいます。身延線沼久保駅が最寄り駅になるのですが、普段は乗降客の少ない沼久保駅でぞろぞろと人が降りていくので、「何が起きたんだ?」と、電車の中がちょっとざわつくそうですよ。
3.いよいよ、ライブスタート!!
カウントが鳴り、イントロとともに「富士山ご当地アイドル3776でーす!」という、井出ちよのさんの元気な声が響き渡ります。

自作の衣装に身を包んだ井出ちよのさんが大きく跳ね回り、1曲目が始まりました。
1曲目は「二人乗りよりやばいこと」。
2024年12月に発売された新作アルバム『The Birth and Death of the Universe through Mount Fuji』からの1曲です。
アップテンポで、歌もダンスも弾みまくる、井出ちよのさんの持ち味を存分に生かした元気な曲です。ちなみに3776のライブではサイリウムを持って踊ったり、曲に合わせてコールする、いわゆる「オタ芸」と呼ばれるものはありません。唯一のオタ芸は特定の曲でリコーダーを吹くことぐらい。みなさん、それぞれのペースで楽しんでいます。

この日は新作アルバム収録曲を中心とした合計6曲が披露されました。
バレンタインデーが近かったので、バレンタインデーにちなんだ「2037年のバレンタイン」という曲も披露されました。
変拍子とブレイクビーツが不思議と心地よいこの曲の面白いところは、数をひたすらカウントするサウンドのベースに、歌詞に散りばめられた「み」「な」「な」「ろ」の文字が重なり合うところです。
ちょっと何を言っているのかわかりませんよね?
このわからなさが3776最大の魅力だと思います。
奇想天外な手法が曲のあちらこちらに仕込まれていて一見難解に思える楽曲を、井出ちよのさんの卓越したパフォーマンス力で明るく楽しいアイドルソングに仕立て上げています。アイドルのステージとして楽しみつつ、音楽の要素も存分に味わえる。それが3776なのです。

4.物販はハイカーのくつろぎタイム
ライブが終わると次は物販です。CD、レコードの販売のほか、アイドルといえば!のチェキ撮影会もあります。応援する気持ちを伝えられるし、ライブを観た記念にもなるので、チェキの撮影はおすすめです。

実はこのチェキの撮影を順番待ちしているあいだが楽しい時間でもあります。
ライブの感想や楽曲についての考察をハイカー同士で言い合ったりするほか、静岡のおいしいものの情報を交換することもあります。岐阜からのハイカーは、ここで情報を仕入れ、静岡のおいしい魚などをおみやげにして一杯やって楽しんでいるそう。遠方から来る方はおいしいものを食べたり、いい景色を見たり、静岡を楽しんで帰って行くようです。
この日は有志によるおしるこが振る舞われました。遠くから静岡に来てくれる人もいるのでおもてなしをしたい、という気持ちから始めたそうで、食材は静岡のものを選んでいるとか。お水も湧玉池から汲んできた水を使っているとのこと!富士山愛にあふれています。
この時間を「ピクニックのようで楽しい」というハイカーも多く、沼久保の自然に囲まれながら過ごすのんびりとしたひとときも、他のライブにはない沼久保ライブの楽しみのひとつです。

5.井出ちよのさんとプロデューサー石田さんにインタビュー
ライブ終了後、井出ちよのさんと、3776のプロデューサーで作詞作曲を担当、サポートメンバーでもある石田彰さんにお話を伺いました。
ーなぜ沼久保水辺の学校でライブをするようになったのですか?
石田彰さん(以下、石田):コロナ禍に入り、室内のライブハウスでライブをすることが難しく、野外で場所を探していたところ、電車の駅やバス停が近くにあり、トイレも駐車場もある沼久保水辺の楽校にたどり着きました。
ー沼久保ライブとライブハウスとでは違いがありますか?
井出ちよのさん(以下、井出):沼久保は気が楽ですね。ホームだから。3776を知って興味を持った人だけが来てくれるので安心感があります。

ー通りすがりに見る人も多いですが、初めて来る人に伝えたいことはありますか?
井出:アイドルの現場って行きづらいイメージがあるかもしれないけど、3776はだいぶおだやかなので来やすいと思います。犬を連れてお散歩もできますし。ライブに来るというよりは、公園に遊びに来たついでにライブを観る、ぐらいの気持ちで来てもらえたら。
石田:ライブをやっている最中だと、ステージ横を通りづらくて階段の上で観る人がいるけれど、ステージの両脇は道なので遠慮なく下まで降りてきてください。
井出:上で見てる方が目立つから。ステージ脇にあるカイロも遠慮なく取りにきてください。
石田:それはハードルが高いかもしれないけど(笑)降りてきた方が絶対にいいです。
ー3776をPRするとしたら?
石田:基本的には富士山に関わりのあることを歌っているので、みなさん富士山のことは知ってるとは思うけど、もしかしたら知らない富士山に出会えるかもしれませんよ。3776を通して、もっと富士山のことを知ってもらいたいです。
井出:新しいアルバムをいっぱい売りたいです!いいアルバムなんで。
新しいアルバム『The Birth and Death of the Universe through Mount Fuji』は、「宇宙の誕生から終わりまで」という壮大なテーマを、女子高生の高校生活で表現したユニークなコンセプトが注目されている話題作です。
6.沼久保ライブのグッとくるエピソード
最後にハイカーから聞いた話で印象に残った話を2つほど。
数ヶ月前から来るようになった富士宮のハイカー。そのきっかけは、友達から3776について聞いたこと。その後、沼久保でライブが行われていることを知って、ライブのない日に来てみたところ、ステージと思われる場所に円形にすり減った白い跡があるのを見つけ「どれだけここで踊ったんだろう。歴史が刻まれている!」と感動し、3776にのめり込んでいったそう。

もう一つは、Google Earthで沼久保水辺の楽校を見てみると、3776のライブの様子が写されていると気づいた話。しかも撮影した日付を見ると、その日は新譜からの曲を披露していたので、宇宙の歌を歌っている時に、宇宙から撮影した画像が残っているようです。
3776のライブは写真も動画も撮影自由のため、沼久保ライブの様子はYouTubeやSNSなどで見ることができます。興味のある方は検索してみてください。YouTubeには3776公式チャンネルもあり、ミュージックビデオなどを見ることができます。ミュージックビデオは富士、富士宮で撮影をしているものが多いので、きっと知っている景色に出会えるでしょう。

PROFILE
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このみ会
吉原MAD-DOGs
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吉原からやってきました、This is 吉原MAD-DOGs。 怖そうな名前ですが、「郷土研究」略して「郷研」から「狂犬」になった、「地元を調べて、知って、楽しみたい」という人です。
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名称・名前 3776定期ライブ@沼久保地区水辺の楽校 住所 富士宮市沼久保289 HP https://m3776.com/ その他 開催日:毎月第2日曜日(詳しい日時はHPにて告知)