1. はじめに

いつも私の相談や愚痴を受け止めてくれる、大切な友人がいる。
普段の食事はファミレスでもファーストフードでも気兼ねなく楽しめるような、付き合っていて心地よい相手である。
そんな友人の誕生日に、ささやかながら「感謝」の気持ちを形にしたいと思い、少し贅沢なランチを贈ることにした。

今回選んだのは、富士宮市小泉にあるフレンチレストラン エフズマルシェである。
富士宮といっても富士市に近い場所にあり、富士市民にとっても訪れやすい立地である。

住宅街に静かに佇むその姿は、まさに“隠れ家”という言葉が似合い、初めて訪れる者にとっては胸が高鳴るような雰囲気があった。
駐車場はコンパクトであるため、相乗りで訪れるのが望ましい。

2. 店内の雰囲気

店内は温かみのある空間である。
席数は多くはないが、数人で囲める四人席が数席あり、ゆったりと会話を楽しめる配置になっていた。
さらに、それよりもう少し多い人数でも利用できるスペースもあり、気心の知れた仲間同士で食事を楽しむ場としても使いやすい造りである。

また、個室も備えられているとのことで、小さな子どもを連れた家族での食事にも適していた。
全体的に落ち着いた空気が流れ、初めて訪れる者でも過ごしやすい雰囲気が整っていた。

3. カジュアルでも気取らず楽しめるフレンチ

フレンチといえば、少し畏まった装いが必要というイメージがある。
今回はカジュアルなデニムコーデで訪れたが、それでもまったく浮くことはなかった。
穏やかな店内とスタッフの温かな接客によって、肩肘を張らず普段のままの自分で食事を楽しむことができた。

また、フランス料理に慣れておらずカトラリーの扱いに自信がない私であるが、オーナーやスタッフはそのような私を優しく迎えてくれた。敷居の高さを感じさせない接客が、この店の大きな魅力である。

今回選んだランチのプチコースは、メインを肉料理か魚料理から選び、パンまたはライスも選択できる内容であった。
誕生日のお祝いという特別な日であるため、私は迷わず肉料理を選択した(魚料理は次回のお楽しみである)。
普段は健康のため小麦を控えているが、「この日は絶対パンが合う」と確信し、迷わずパンを選んだ。

4. 前菜三種

前菜三種は、まさにエフズマルシェの“自己紹介”ともいえる一皿であった。ひとつひとつの料理に手を抜かないシェフの姿勢が、このプレートからも伝わってくる。

白い長皿には、色彩豊かな三種の料理がバランスよく並び、見た瞬間から期待が高まる。
キッシュは表面が軽く香ばしく、中はしっとりとしており、卵の穏やかな甘みが広がる。
中央のマリネは、野菜の瑞々しさが際立ち、酸味との調和が良い。
富士鶏の低温調理は、柔らかく仕上がった鶏がやさしい味わいで添えられている。

5. スープとサラダ

続いて出てきたのは、鮮やかな色のかぼちゃのスープである。
一口飲んだ瞬間に「これだけで来てよかった」と思えるほど格別であった。

かぼちゃを丸ごとオーブンで焼いて作る、手間ひまかけて作られた一品。
舌触りは驚くほどなめらかで、かぼちゃの甘さと牛乳のまろやかさが見事に調和していた。

サラダは新鮮そのもの。
エフズマルシェでは富士地域の野菜を厳選して使用しており、素材の力強さをしっかりと感じることができた。
“富士ならではのご馳走”とは、まさにこのことである。

6. メイン料理(お肉料理)

そしていよいよメインの登場である。
皿を置かれた瞬間、お肉と共に焼かれたにんにくの香りがふわりと立ち上り、その時点で期待値が一気に跳ね上がった。

牛肉は美しいロゼ色。
ひと口噛むと肉汁がじゅわっと広がり、噛むたびに旨みがゆっくりと溶け出していく。
添えられたロースト野菜は甘みが際立ち、ソースと合わせることで味に奥行きが生まれる。

肉、野菜、香り──それらすべてが調和し、ひとつの料理として完成されていた。
“噛むのが楽しい料理”とは、このことだと思った。

7. パンという最高の相棒

パンは外が軽くパリッと、中はふわりと柔らかい。
肉料理との相性が抜群で、ソースを吸わせると驚くほど美味しい。
普段小麦を控えている私でも「今日だけは食べる」と即決した自分を心から褒めたいほどである。

8. デザートで締める幸福

お腹がいっぱいと思っていたが、目の前でキャラメリゼしてくれるクレームブリュレを見た瞬間、迷いは吹き飛んだ。
パリッという音と共に現れる濃厚なクリーム。
「このデザートだけでもまた来たい」と思わせるほどの満足感だった。

9. まとめ|特別な日の少しの贅沢を叶えてくれる店

「食」という字は“人を良くする”と書く。
エフズマルシェの料理には、その言葉どおり“食事への愛”が詰まっている。
丁寧に作られた料理は人の心を柔らかくし、ふっと優しい気持ちにさせてくれる。

「エフズマルシェ」の“エフ”は富士宮の「F」であり、“マルシェ”は市場。
地元の野菜を大切にしたいという思いから名付けられたという。

訪れた日もほぼ満席であったため、予約をして訪れることをおすすめする。
富士市・富士宮からのアクセスも良く、特別な日やご褒美ランチに最適な店である。

また、これからクリスマスやお正月といった特別なイベントが続く季節である。
一年の節目を大切な人と過ごす場としても、エフズマルシェはふさわしい店だと感じた。
落ち着いた空間で丁寧な料理を楽しめば、慌ただしい日常を離れ、心がゆっくりと整っていく。

記念日だけでなく、年末年始のご褒美ランチとしてもおすすめしたい。

  • このみ会

    Jun(ジュン)

  • 神戸市出身、富士市在住。フリーのフォトグラファー・建築デザイナー。
    富士市にしかないこの街の面白いモノ・コトを写真を撮ることが趣味。
    お洋服・インテリア・雑貨・文房具が大好きで、
    必ずしも生きていく上で必要ではないものにこそ、
    心を豊かにする価値があると考えている。

  • 名称・名前 F'sMarche(エフズマルシェ)
    住所 静岡県富士宮市小泉90-1
    電話 0544-66-8909
    営業時間 ランチ 11:00~14:30(Lo. 14:00)/ ディナー17:30~21:00(Lo.21:00)
    定休日 火曜日(夏季休暇、年末年始、イベント出店など、不定休あり)
    駐車場 8台

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