-
富士市のマンホールカードの誕生秘話が面白い!これを知ればあなたもマンホールマニアに

今回はちょっとディープで面白いテーマをご紹介します。
「マンホールカード」をご存じでしょうか?
最近はテレビやSNSでも取り上げられることが増え、コレクションしている人も多いですよね。
富士市にも、2種類のマンホールカードがあるんです。しかもこの2枚、背景にある物語がとてもユニークで、知れば知るほどハマってしまうんです。
今回、カードを発行している「富士市役所 上下水道営業課」と「岳南排水路管理組合」にお話を伺ってきました。
ここでは、そのインタビュー内容をもとに、なるべく分かりやすくお伝えします。
1. マンホールカードとは
日本全国の自治体や下水道事業団体が発行しているマンホール蓋をデザインしたコレクションカードのことです。
特徴
•トレーディングカード風のデザインで、表面には各地のご当地マンホール蓋の写真が掲載されています。
•裏面には解説があり、デザインの由来、地域の特色、下水道に関する情報などが書かれています。
•サイズはトレカと同じで、コレクションに適したサイズです。
発行の目的
•下水道事業への理解を深めてもらうための広報活動。
•ご当地キャラや観光資源と組み合わせることで、観光PRや地域振興にも活用されています。
入手方法
•各自治体の配布場所(市役所・上下水道局など)に行くと、無料で1人1枚もらえる仕組みになっています。
•郵送などでは原則入手できず、現地に足を運ぶ「旅の楽しみ」的要素が大きいです。
集めて楽しいマンホールカード
•第1弾が2016年に登場して以来、現在では第26弾まで1000種類以上が発行されており、全国を旅しながら集める人が増えています。
•旅行やランニングと組み合わせてカード集めを楽しむ人も多く、ご当地スタンプラリー感覚で人気を集めています。
その記念すべき第1弾28自治体のうちの1つが富士市のマンホールカード(赤富士)なのです。
2. 富士市のマンホールカードは2種類
富士市で配布されているマンホールカードは以下の2種類です。
カードA:富士市役所 上下水道営業課発行(赤富士)

カードB:岳南排水路管理組合発行(工場とトイレットペーパーのデザイン)

同じ富士市内で入手できるマンホールカードでも発行元が異なり、デザインも対照的。
王道の「富士山」と、地域産業を描いた「工場とトイレットペーパー」。2枚を集めることで、富士市の魅力をより深く知ることができます。
3. カードA|富士山デザインの王道マンホールカード
発行のきっかけ
富士市がマンホールカードの第1弾に選ばれた背景には、ある人物が深く関わっています。
それが、元マンホールカードプロデューサーの山田秀人氏。
この方は日本トイザらスを経て、マンホール蓋などの鋳鉄製品の製造と開発を行っている日之出水道機器株式会社で広報を担当した後、下水道広報プラットホーム(GKP)の一員として全国を飛び回り「デザインマンホール」の魅力を広めた人です。
富士市のマンホールは日之出水道機器製。山田氏が特に惚れ込んでいたデザインが、富士市の「朝日に照らされた富士山と駿河湾」です。
というわけで、全国28自治体のスタートアップメンバーとして富士市は真っ先に選ばれたそうです。
この逸話を知っているとマニアっぽいですよね。



デザインの特徴
•朝日に照らされた富士山と駿河湾を描写
•富士市民の花「バラ」も候補に挙がったが、最終的に富士山を採用
•モノクロ版とカラーマンホール版では波の向きが違うという細かい違いも
富士山という日本のシンボルを真正面から描いたデザインは、国内外のコレクターからも大変人気があります。
配布状況
累計配布数は約2万枚。特に50代・60代の方に人気で、県外からの来訪者が89%、フランス・香港・台湾など海外からも多くの方がカードをもらいに訪れています。
富士市民でこのカードを持っている人は実はまだ少ないのかもしれません。
4. カードB|岳南排水路管理組合の工場とトイレットペーパーのデザインマンホールカード
発行のきっかけ
カードBは、岳南排水路管理組合の設立50周年記念として誕生しました。
発行元はちょっと珍しく「岳南排水路管理組合」です。
実はここ、全国的にも数少ない「工場排水専用の下水道」を管理している富士市と富士宮市にまたがる組合なんです。
製紙工場が多い富士市らしく、デザインにはトイレットペーパーや工場の煙突、そしてもちろん富士山が描かれています。


デザインの特徴
•富士山と駿河湾しらすや桜えびのほか、富士市を象徴する「製紙工場」と「トイレットペーパー」が描かれています。
•驚きなのは、このマンホールを岳南排水路組合の職員さんが自分達でデザインしたこと。雪の形を実際の富士山の沢に合わせたり、宝永山の標高を入れたり…まさに“手作りのカード”。16,000枚も発行されていますが、背景を知ると胸熱ですよね。
「トイレットペーパーが描かれたマンホールカード」というのは全国的にもかなり珍しく、紙の町富士市の特色を表すデザインとして人気を集めています。
5. マンホールをもっと楽しむ方法
富士市マンホールの豆知識
•富士市のマンホール蓋は汚水の流れる方向に富士山の頂上が向くように設置されている
•蓋をたどって歩いていくと、下水処理場にたどり着く
•富士山のマンホールは汚水が流れており、かぐや姫のマンホールには水道水(富士市の水道水はミネラルウォーター!)が流れている。
岳南排水路のカラーマンホールの知っておくべきポイント

•カラーマンホールはわずか2枚しか設置されていない
「岳」の文字は蓄光素材で夜に光るデザインだったが、経年劣化で現在光るか不明。
•晴れた日には「マンホールの富士山」と「本物の富士山」を一緒に撮影できる
こうした情報を知ってから現地を訪れると、カード収集が一気に面白くなりますよ。
6. 富士市のマンホールカードを手に入れるには?

カードA(富士市役所 上下水道営業課)
→ 上下水道営業課で配布 平日8:30〜17:15


カードB(岳南排水路管理組合)
→ 組合窓口で配布 平日8:30〜17:15



市役所守衛で配布(土日祝のみ対応)9:00〜16:00

配布場所や在庫状況は事前に公式ホームページでチェックしておくと安心です。
7. まとめ:富士市のマンホールカードは「足元の文化遺産」
富士市のマンホールカードは、
•富士山と駿河湾を堂々と描いた「王道」デザインのカードA
•工場とトイレットペーパーを描いた「異色」デザインのカードB
この2枚を集めることで、富士市の自然と産業、そして人々の暮らしの一端を感じられる気がします。

8. さいごに
岳南排水路管理組合の職員さんの言葉をご紹介します。
「ぜひ普段使っているティッシュやトイレットペーパーの製造元を見てください。富士市や富士宮市の工場なら、あなたの生活は岳南排水路とつながっているかもしれません。」
富士市を歩く際は、景色だけではなく、ぜひ足元のマンホールにも注目してみてください。
ちなみに私の使っているティッシュペーパーは富士市のものでした!何気なく使っている生活用品の紙が岳南排水路につながっていると知り、感慨深かったです。
9. おまけ
富士市職員さんの話を聞いて妄想が膨らむ
今回、マンホールカードのことを調べていくうちにそれができるまでにいろいろな方が尽力されて、普段の生活に溶け込んでいるマンホールに焦点を当て、観光PRにつなげるという取り組みにとても魅力を感じました。
次年度は富士市の市政60周年の記念の年にあたるので、新しいマンホールカードを作れないか検討を重ねてきたがなかなか予算がつかず現状は厳しいとのこと。
市民から声を上げ、クラウドファンディングなどで、たとえ1枚でも新しいカラーマンホールを作り、マンホールカードにできたらいいなと想像が膨らみました。
実際に新しいマンホールとカードを作る場合、どれだけ費用がかかるのか職員さんに聞いたところ、マンホール1つにつき約50万円、マンホールカードは9万円かかるそうです。
一度作ったマンホールは約35年の耐久性があるとのこと。
富士市の企業や市民、マンホールカードコレクターが力を合わせて新しいマンホールカードができたら、素敵だと思いませんか?
【関連記事:マンホールカードって知ってる?富士市でマンホール巡りランニングしてみた】
PROFILE
-
このみ会
エリ
-
フリーランスのwebデザイン&ライター。
屋号のCheer Waveは、お仕事にいい波がくるという想いをこめました。
ロゴ名刺HP公式LINEなどを制作。お客様とイメージを丁寧にお伺いし、一緒につくりあげます。
-
名称・名前 カードA(富士市役所上下水道営業課) カードB(岳南排水路管理組合)